それだけ

今回取り上げるのは、「それだけ」という表現です。シチュエーションは、あるレストランで何か注文したと思ってください。日本語ならお客さんが「以上です」あるいはウェイトレス・ウェイターさんが「以上でよろしいですか?」と聞く時の表現です。英語なら That’s all. でしょうか。

筆者はスペイン語圏として初めて足を踏み入れたのは中米のグアテマラ、その次が隣国のホンジュラスでした。これらの国のレストランで注文を終えて、ウェイトレスさんに言われたのは Solamente? でした。

この表現を聞いた時に、筆者も、筆者と同行していたほかの日本人もいささかむっと来ました。なぜかと言うと、この solamente は「たったそれだけ」という時にも用いる単語だからです。なので「それでおしまいなのか?」とつっけんどんに言われているように感じてしまったわけです。

その後グアテマラからホンジュラスまで、通算で2年3ヶ月暮らしましたが、ほとんど常に solamente でしたから、別にウェイトレスさんの表現の仕方の問題ではなく、このあたりでは、こう表現するのである、ということが理解できました。無論若かりし筆者が高級レストランに出入りしていたわけではありませんから、まあそれなりのレベルのお店の話だと思ってください。

さて、所変わって仏語圏アフリカのセネガル。フランス語で solamente にあたる単語は soulement です。ですからこの単語を使うかと思いきや…一度もレストランなどのシーンではお目にかかった…じゃなかった、耳にしたことがありません。当地で一般的な表現は、英語の that’s all にあたる、

C’est tout.

これです。