nombreの意味

2002年、皆さんご存知のように?!、ワールドカップ・サッカー第一戦は、大方の予想を覆して初出場セネガルが、優勝候補のフランスを破りました。筆者は現在セネガル在住ですから、この国の喜びようと言ったら、多分フランスから独立したとき以上ではないかと思います。

試合終了直後から首都ダカールの町は凄い騒ぎでした。人々は国旗を持って町に飛び出し、車やバイクはクラクションを鳴らしっぱなし。白バイはサイレンを鳴らして走っていますが、取締りではなく、ポリスもバイクの上で両手を挙げてガッツポーズをしています。モスクから聞こえるお祈りを呼びかける声も今日ばかりはかき消されそうです。ひょっとするとあの声も今日はアラーに勝利を感謝しているのでしょうか。

さて今回の記事は単純な名詞 nombre を取上げます。どんな意味でしょうか?

スペイン語を知っている方にはnombre の意味は「名前」なのですが、フランス語を知っている方には「かず(数)」になってしまう、つまり同じスペルでまったく意味が違う単語です。

こうした単語、覚えてしまえばそれまでなのですが、なまじどちらかの言語を良く知っていたりすると、頭の切り替えがうまく行かずに???になってしまうことがあります。

筆者は仕事でスペイン語を使っていましたし、現在も職場で使うことが圧倒的です。今週などは朝から晩までフランス語の会議に数日間出ていましたから、随分とフランス語に耳が慣らされた気がします。

でもその中で、理解しようとしているときにつっかえてしまうのが、こうした単語でした。例えば

le nombre de gens

などと出てくると、筆者はついつい「人々の名前」かとうっかり思ってしまうのですが、もちろん「人々の数」つまり人数のことになります。フランス語では名前は nom です。

つまりフランス語の nombreの意味は英語の number に該当し、スペイン語では número のことかと思いきや、そうは問屋が卸さないから困ります。

スペイン語の número に該当する単語としてはフランス語には numéro があります。しかしフランス語の numéro は「かず」ではなくて「番号」のようなものを意味します。

例えばスペイン語で

número de gente

と書けば、「人々の数」の意味に普通はとられますが、フランス語で

le numéro de gens

と書くと、「人々の番号」というちょっと意味がわからない言葉になってしまいます。つまり英語(number)やスペイン語(número)ではあまり区別されていない「かず」「番号」が、フランス語ではそれぞれの単語で区別されている、ということですね。

ひょっとすると le numéro de gens の gens にはフランス語にお決まりの冠詞は付かないのか?という鋭い突込みをされる方がおみえかもしれません。申し訳ありませんが「意味によって変わるし、正確にはわからない」とお答えします。