ジャパンスクはロシア語?

セネガルに着任して間もないある日フランス語で行われる仕事の会議に出ていました。何が議題になっているのかはわかるのですが、詳細に関してはフランス語が達者な同僚に通訳してもらわないと、情けないですが把握できません。その時の議長サムラ氏は、こちらの多くのお偉方と同様に結構自分でしゃべってしまう人だったのですが、「ジャパンスク」「ジャパンスク」と繰り返し言っているのが聞き取れました。

スペイン語なら日本は「ハポン」ですが、フランス語では「ジャポン」。日本人がいるから日本のことを言っているのか?それにしても「ジャパンスク」なんて単語は聞いたことがないし、なんだかロシア語みたいだなあ…、いやロシア語ではヤパンスクだったか…などと思っていてふと気がつきました。

「これは『Yo pienso que』(ジョ・ピエンソ・ケ)だ!」(スペイン語で「わたしは~と考える」の意味)

そう、フランス語では

Je pense que (ジュ パンス ク)

というのでした。スペイン語の pensar (考える)はフランス語では penser と非常によく似ています。que は英語の that にあたり、複文を作るときに使います。こういうよく似た表現があると、とっても得した気分になります。

ついでにもう一つ似た表現、スペイン語の

(Yo) creo que

(わたしは~と思う)はフランス語だと

Je crois que

になります。これもスペイン語とフランス語と似ていますね。フランス語とスペイン語の que はカバーする範囲が違って戸惑うことも多いのですが、この場合は共通の意味で使われています。

これらの表現は英語では I think that にあたり、que 以下に自分が思う内容が従属節としてくっつきます。

一般的に肯定文のとき(思っている内容に自信・確信があるとき)は従属節の中の動詞は直説法になり、否定文や疑問文のとき(思っている内容に確信がない・疑問があるとき)には従属節の中の動詞は接続法になりますが、これもフランス語・スペイン語で共通しているようです。接続法なんて当分書く予定はないのですが、使われるニュアンスは似ている、ということのようです。

20数年前にスペイン語の会議に初めて出たときにはほとんどちんぷんかんぷん。話によっては何が議題であるのかすらわかりませんでした。それ以前に3ヶ月ものスペイン語の集中訓練を受けていたのに、です。

ところが今回のフランス語の場合は、最初からわかるときにはわかりました。なぜかと言うと、単語がスペイン語や英語とよく似たものがかなりあるからです。ところが、文法をきちんとやった20年前は、仕事で使う言葉を覚えればどんどん理解ができるようになっていったのに対し、きちんと身につける前に仕事をし始めてしまった今回は、4ヶ月たっても相変わらず「ある程度わかる」くらいから、なかなか進歩しません。

やっぱり文法や、慣用的な表現はある程度集中的に丸暗記しないとだめですね。それと徹底した会話練習。それがないと頭がなかなか「フランス語化」しませんから。